コーディネートの基本

「まさに革の芸術!」パティーヌ特集【2019年版】

今回は革の芸術とも言われるパティーヌ製品の特集をしていく。今回紹介するのはごく一部なので、興味があれば見ているだけでも楽しいからオススメ。

 

 

ティーヌとは

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1980年代オルガ・ベルルッティにより確立された、色を幾重にも塗り重ねて色彩を表現する革の染色技法の一つ。

その技法によって生み出された革は、独特のコントラストや透明感をもち、唯一無二の輝きを放つ。「魂のこもった革」「革に描く芸術」とも評され、ジャン・コクトー*1フランソワ・トリュフォー*2アンディー・ウォーホル*3イブ・サンローラン*4などの芸術家やアーティスティックな著名人達をはじめとし、現在でも幅広い分野で愛用者が多い。

 オルガは月が皮革の脱色に与える影響を理解する事で、この「パティーヌ」と言われる染色技法を生み出したと言われている。

使用する革は、「ヴェネチアレザー」と呼ばれる柔らかくしなやかで、強靭漆器の様な光沢をもつ革で、ベルルッティが独占的に使用することを許されている。

何故なら「ヴェネチアレザー」とは、サンクローチェという地で製造されたカーフ(子牛革)をベジタブルタンニンなめしとクロムなめしを用い、染色(手染めかつ水染め)まで行った、オルガ発案の革を指すため。

 

  現在では「ベルルッティ」以外のブランドでも、勿論「ヴェネチアンレザー」以外でもこのパティ―ヌ技法が用いられ、一つの革の染色技法として親しまれより身近な存在になってきている。

因みに市場のパティーヌ製品(既製品)で圧倒的に多いのが、参考画像の様な色。(ここまで輝きを放つのは殆どベルルッティのみ)

「バイオリンの表板」「コニャック」「漆器」の様な色合いのブラウンベースな製品が多い。

(参考画像)

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また「パティーヌ製品」で最も多く見られるのは「革靴」で、全体の8割近くを占める。パティーヌ=革靴と言っても過言でなく、初めにパティーヌ技法が用いられたのもまた革靴。

 

オルガベルルッティ 本人

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ティーヌ製品を取り扱うブランドの商品

1.Berlutiベルルッティ

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ティーヌの生みの親ともいえるブランドで、アレッサンドロ・ベルルッティが1895年にオーダーメイドの革靴店として創業。(オルガは4代目)

品ぞろえも最も多く、公式サイトにて「シューズ数十種類」「バッグ数十種類」「小物数十種類(ベルトや財布)」確認。

国内にも、東京・大阪・福岡などに進出しており、「パティーヌ」の技術を習得した「マスターカラリスト」も国内には5名(2017年時点)存在し、ベルルッティ製品のメンテナンスや再パティーヌと言ったアフターケアを、ハイレベルな人員に任せることが可能。

品ぞろえが多すぎるので一部のみ紹介していく。

 

Alessandro(アレッサンドロ) 【税別 274,000円】

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ベルルッティで最も有名な靴型が、この創業者の名を冠したアレッサンドロ。掘られた文字は「カリグラフィ」と言い、「ヴェネチアレザー」「パティーヌ」と並びベルルッティを象徴するアイコン。

 

Andy(アンディー) 【税別 265,000円】

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恐らく二番目に有名な靴型で、アンディーは前述の「アンディ・ウォーホル」のために作られた靴型だから。

 

左【税別 256,000円】 中【税別 540,000】 右【税別 6,880,000円】

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ワニ革トロリーバッグの税込700万越えは、目ん玉飛び出る。

 

左【税別 123,000円】 中【税別 57,500円】 右【税別 83,500円】

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上品なiPhoneケースをお求めなら。

 

(その他画像)

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Berlti(ベルルッティ) 公式ホームページ

https://www.berluti.com/ja-jp/homepage/

 

2.STEFANO BRANCHINI(ステファノブランキー二)

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「ノルベジェーゼ製法」「スクエアトゥ」「パティーヌ靴」で有名な1994年創業のイタリアの革靴ブランド。

イタリアらしい色気のある靴が多く、「革のフェラーリ」とも評される。

オンラインサイトのパティーヌ製品の展開は、ベルルッティに次ぐ多さで「革靴」「カジュアル靴」だけでなく「バッグ」や女性ものまで取り扱っていた。

純粋な靴の品ぞろえだけを見れば、ベルルッティを凌ぐほど多いが、残念ながら日本での取り扱いは殆ど0に近い。

 

左 JONES【€490】 中 Cuoietto osso【€450】 右 REPORTER 【€620】

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今回はあえてスクエアトゥの靴もクロコの3200€の靴も紹介しなかった。

 

左【€2,000】 中【€300】 右【€360】

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鞄以内は射程圏内なので、財布を新調しようとしている人は候補にいれみては。

 

STEFANO BRANCHINI 公式サイト(英語版)

https://www.branchinishoes.com/

 

3.MAGNANNI(マグナーニ)

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「パティーヌ靴」「ボルネーゼ製法」として有名なスペインのブランドで、1954年にセバスチャン・ブランコ・アルドマールがマグナーニの前進となる靴工房を創業。

堅実な靴というよりは、ラテンの雰囲気とイタリアの色気をミックスしたような革靴が多く、日本でも百貨店の革靴コーナーにいけば大抵扱っている。

靴以外にもベルトの取り扱いを確認。

 

左 abrahan【$495】 中 charles【$395】 右 vaughan【$350】

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公式サイトの値段なので、日本で買うと7~8万円くらいが相場。

 

MAGNANNI 公式サイト(英語版)

https://www.magnanni.com/

 

4.Santoni(サント―二)

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1975年にアンドレアサント―二によって創業されたイタリアの高級革靴ブランドで、恐らく日本で最も有名なイタリア革靴ブランド。

特徴としては色々とあるが、一番は一目でサント―二とわかる「ロングノース」だろう。また「メルセデスAMG(車)」と「IWCシャウハウゼン異業種(時計)」とのコラボレーションでも世間を賑わせた。

日本での取扱店も豊富で、最近ではメンズ革靴だけにとどまらず、ジャケットの展開や、レディス靴の展開も力を入れている。

 

 左【154,500円】 中【148,000円】 右【82,000円】

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職務と輸送費別との記載があったが、職務は日本語サイトの翻訳がおかしいだけで税別の意味だと思われる。(日本の方が安く買える)

 

Santoni 公式サイト

https://www.santonishoes.com/jp/

 

5.Francesco benigno(フランチェスコ・ベニーニョ)

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 安価で品ぞろえの多い「パティーヌ靴」として有名なのが、このイタリアのフランチェスコ・ベニーニョだったが、近年日本での価格が上昇しつつある。

1926年創業の老舗と言えるが、日本でもまだそれほど知名度がない上に、世界的には更に知名度が低いブランドと言える。(先ほどのステファノブランキー二のOEMを手掛けていたブランドなので造りは確か)

 

左 F3248-01【€255】 中 F3675-01【€255】 右 F3680-01【€260】

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こちらも公式サイトの値段で何とセール中だったので、この価格から50%OFF。つまり現地民なら2万円しない程度で購入可能だが、日本で買う場合は4万~6万円程度。

 

Francesco benigno 公式サイト(イタリア語版)

https://www.francescobenigno.it/

 

その他

一部取り扱いをしている所は、それなりにある。

 

 

自分で染めてしまう

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「え?熟練の職人が何年もかけて習得する技術を自分で?」と思うかもしれないが、実はお手軽になんちゃってパティーヌをする人は少なくない。

ベルルッティでオーダーすれば、「燃える薪の色」でも「上海の夜」でも「自分が持ち込んだ色」でも何でも好みの色を付けてもらえるらしいが、非常に高価だ!

さらに既製品だとイマイチ好みの色が見つからない。

そこで自分で染めればいいんじゃないという事になるわけだ!

 

用意する道具

  • 染めたい革靴 
  • 脱色用アセトン
  • アセトン用容器
  • 細長い布の切れ端(いらないTシャツを切る)
  • 染色用塗料
  • パレットと筆(パレットは代用品で補っても可)
  • ゴム手袋(薬品対策)
  • マスク(ニオイ対策)

やり方については↓この方がかなり上手く染めれていた。

http://itoakira.com/shoepolishing

 

因みに、私自身5年前くらいにどこかのサイトを見て、見様見真似でトライしたことがあるが…大失敗(笑)

微妙な感じには染まったが、納得できずもう一度色を落としてとする内に、染まりが悪くなって色が剥げたようになった。

結果捨てた…2足(笑)

(美術は5やったのに。。。)

 

という事で私から教えるのは事はできないが、現に成功している人も少なからずいるので、興味があったらトライしてみよう。

 

 

 

ではこの辺で

*1:フランスの芸術家。詩人、小説家、劇作家、評論家として著名であるだけでなく、画家、映画監督、脚本家としての活動も行っており、その多彩さから「芸術のデパート」「オーケストラ人間」と評された。

*2:「大人は判ってくれない」「アデル恋の物語」で有名なフランスの映画監督。「愛のシアネスト(映画人)」とも評された

*3:アメリカのでポップアートで銀髪のかつらがトレードマーク。ファッション界において、当時は異例のジャケットにジーンズを合わせる「ウォーホルルック」と呼ばれるスタイルを確立し、現在の定番スタイルとして親しまれている(このスタイルを広めたのは、アンディ・ウォーホル本人だが、彼の友人が取り入れたスタイルを、当時の彼が気に入り真似たものと言われている)

*4:イヴ・サンローラン創始者で、ココ・シャネル、クリスチャン・ディオールらと同様フランスファッション界を代表するファッションデザイナーで「モードの帝王」と評された。