【名作ファッションアイテム②】 バラクータ スウィングトップ 「G‐9」
名作ファッションアイテムシリーズ第2弾
「バラクータ スウィングトップ G‐9」について書いていく。
スウィングトップ(ハリントンジャケット)とは
元々ゴルフシーンでの着用を目的として開発されたアウターの1種。
元祖は、1937年に【バラクータ(英)】が英国陸軍の支給用ジャンパーをベースに防風、防水加工を施したゴルフ向けジャンパーで、
1948年に「ゴルフジャケットモデル9」として発売された(通称G-9)もの。
この「G‐9」は全てのスウィングトップの原型で、発表から半世紀たった今でも廃版になっておらず、様々な人々から愛されるモデルだ。
※「スウィングトップ」は、和製英語で日本のアパレルメーカー【VAN】が、ゴルフのスウィングから命名したもの。
世界標準では、「ハリントンジャケット」と言われるが、そもそも「スウィングトップ」ですら知らない人が多いので、あまり気にする必要はない。
現代の「スウィングトップ」の定義を検索したところ、
ナイロンまたは防水布製のジャンパーで、ラグラン袖、ジッパーの前開き、衿、袖口、裾がリブ編みになっているもの。
色々なサイトで大体このようなことが書かれていた。
しかし実際の所、スウィングトップを一言で言ってしまうなら、
ゴルフ用ジャンパー・ブルゾンの総称だ。
だから、バラクータが「G‐9」で用いたディティール(後述参照)の、
を採用していなくても、スウィングトップと呼んでいい。
強いていうなら、短丈のジャンパー=ブルゾンであれば、細かいディティールは割と何でもOKだ。
(大体の目安)
※因みに冒頭の画像の真っ赤なジャケットは、【McGREGOR(米)】の「ドリズラー」と呼ばれるモデルで、スウィングトップ2大巨頭の1つ。
つまり、あの形でもスウィングトップという事。
バラクータとは
1937年「ジョン・ミラー」と「アイザック・ミラー」のミラー兄弟が、マンチェスター*2に設立したイギリスのファッションブランド。
【バラクータ歴史】
1937年、マンチェスターの郊外で工場を設立し、ゴルフ用のジャケットとして世界初の「ハリントンジャケット(通称 G-9)」の製造に成功。
(表地は防風・撥水加工を施した100%ピュアコットンを使用)
1938年、【バラクータ】を象徴するチェックである、フレーザー・タータンチェックを使用することを許可され、採用。
1964年~1969年、アメリカで放映されたテレビ番組でライアン・オニール演じる「ロドニー・ハリントン」が着用。
(「G-9」やスウィングトップをハリントンジャケットと呼ぶのはこのため)
2004年、バラクータの数々の功績が認められ、イギリス・ファッション・エキスポート・アワード*3を受賞。
Baracuta 公式サイト
かなり端折らせてもらったが、
50年代~現代に至るまで、ワールドカップの公式ウェアに採用されたり、数々の銀幕のスター達が【バラクータ】を着用している。
今やスウィングトップと言えば、1つのアウターの種類と認識され、ハイブランドをはじめとしたその他ブランドも製造・販売しているが、
案外イギリス王室との関りはない。
つまり、「ロイヤルワラント」は一度も獲得した事がないという事だ。(功績を見ても、どこかのタイミングで獲得していてもおかしくないと思うが…)
また、ファッションブランドではあるが、スウィングトップ専門店のように認識されている事が多く、特に日本では顕著にみられる。
実際、バラクータと検索をかければわかるが、スウィングトップ以外のアイテムが表示される事はまずないだろう。
つまり、裏を返せばそれほどの名作アイテムであるという事だ。
バラクータ「G-9」
「G-9」の価格は、約5万円前後で手が届かないわけではなく、アウターの名作シリーズの中ではかなり安い部類に入る。
セールをうまく利用すれば、2万円台後半で手に入れる事も出来るが、中古品だけはあまりオススメできない!
何故なら、あまりに製造年が古いと古臭くなってしまうからだ!
ここからは、「G-9」のディティールを紹介していく。
先述した通り、これらの物だ。
立ち襟、ドッグイヤーカラー、アンブレラカットヨーク、ラグランスリーブ、袖口と裾のリブ、アーミー式のフラップポケット、フレザーチェックの裏地。
【立ち襟】
もともと、襟が立ち上がるように出来ている襟。(左が立ち襟)
【ドッグイヤーカラー】
カラーとは襟の事で、犬(ドッグ)の耳(イヤー)に見える事から。
【アンブレラカットヨーク】
ヨークは布の切り替えの事で、傘(アンブレラ)の形に見える事から。
※雨が流れやすくするための構造。
【ラグランスリーブ】
ラグランは人の名前で、袖(スリーブ)の事。(左ラグラン)
※腕を動かしやすくする構造。
【袖口・裾のリブ】
キュッと絞っている部分がリブで、色が変わっている部分。
※フィット感を出すための構造。
【アーミー式フラップポケット】
陸軍(アーミー)が用いた、フラップ(雨蓋付き)のポケット。
【フレザーチェックタータンの裏地】
タータンチェックは登録制なので、使用できるのはバラクータのみ。
これらがバラクータ「G-9」のディテールだ。
スクリーンを飾ったスター達
「闇に響く声」で着用。
世界で最も成功したソロアーティスト。(曲は100%聞いた事がある。)
「クィーンメリー号の襲撃」で着用
20世紀を代表するシンガーの一人。(俳優としても偉大な人物)
「華麗なる賭け」で着用。
「大脱走」「荒野の7人」が一番有名な作品。(男が憧れる男)
「理由なき反抗」で実は着用していない(笑)
勘違いされがちだから挙げておいた。(既に彼の年を超えてしまった…)
「あなたへ」で着用。
生涯現役で、非常に礼儀正しい人だったらしい。(渋いね~)
「慰めの報酬」で着用。
6代目ジェームズボンドとして有名。(耳が大きいのがコンプだったそう)
「ハングオーバー」で着用。
目の覚めるようなイケメン。(最もセクシーな男ランキングの常連。)
「キラーエリート」で着用。
最近のアクション映画が見たければこの人。(ジダン並みにカッコいいハゲ)
その他、
【トム・ハーディ】
ハリーポッターシリーズのハリー。
最後に
スウィングトップを着こなすコツは、【サイズ感】
あまりに古いタイプのスウィングトップは、
- 短丈すぎる
- 背中が膨らみすぎ
- リブの締め付けが強い
- etc
総じて、おじさん臭くなるか・古臭くなるので注意が必要!!
(90年代のハイウエスト全盛期のアメリカドラマみたいになってしまう)
2013年以降の「G-9」なら、
現代風に身幅が絞られスマートな細身に作られているから若者でも安心。
(色もベージュが鉄板だが、おじさん臭いのが嫌なら「紺」「黒」を選べばOK。)
そもそもリブ仕様が好きじゃないというなら、
「G-9」でなく「G-4」にするという選択肢もあるので、そちらもオススメ。
第1弾も見てね。
ではこの辺で(更新時間がばらけてきた…)