ファッション中級者への道 ① 繊維の種類と特徴 【2019年版】
今回の記事では、洋服に用いられるポピュラーな繊維の中でも「最低限これだけは知っておいて損はない!」という繊維の種類と特徴について書いていく。
いつもの長い記事とは違い、本当に最低限の情報以外載せてないので、さらっと読みやすい記事だ。
繊維の種類
生地の原料ともなるもので、大きく分ければ以下の3種類。
- 「植物繊維」
- 「動物繊維」
- 「化学繊維」
衣服のタグの表記に記入されているのは、「デニム」「オックスフォード」「ツイード」等の生地でなく、「綿(コットン)」「羊毛(ウール)」「ポリエステル」などの今回紹介する繊維の方である。
綿(コットン【cotton】)
綿は細かく分類すれば「植物繊維」「動物繊維」「鉱物繊維」とあるが、今回覚えるべきは「植物繊維」の木綿=コットン。
コットンは「キングオブ繊維」とも言え、私たちにとって最も馴染み深いもので、「Tシャツ」「シャツ」「パンツ」「アンダーウェア(下着)」などの他あらゆる衣服に用いられる。
タグの表記上は「綿」「コットン」「cotton」「C」「Co」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下のものがある。
- 吸湿性があり、涼しく感じる
- 強度があり丈夫
- 肌触りが軟らか
- 適度な保温性がある
- 静電気が起きにくい
- 染色性に優れる
- 熱に強い
- 縮みやすい
- シワになり易い
- 毛羽立ちやすい
毛(ウール【wool】)
「毛」は「動物繊維(天然繊維)」の一種で(ウール、ビキューナ、カシミヤ、アンゴラ、モヘヤ、ラマ、アルパカ、キャメル)などがあげられるが、今回覚えるべきは羊毛=ウール。
ウールは、コットンや化学繊維の次に馴染み深い繊維で、主に冬物の「コート」「ジャケット」「ニット製品」「スーツ」に良く用いられる。
タグの表記上は「毛」「ウール」「wool」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下のものがある。
- 伸縮性と弾力性があり、シワが寄りにくい
- 保温性に優れ、暖かい
- 水をはじく性質と、湿気を吸収する性質を持つ
- 燃えにくい
- 水分を含んだ状態でもみ込むと繊維が絡み合ってフェルト化*1する
- 毛玉ができやすい
- 保管方法に気をつけないと虫が食う
※毛玉は特に化学繊維との混紡*2商品に出来やすい。
羽毛(ダウン【down】、フェザー【feathers】)
出典:https://www.nemuriya-plan.com/
「ダウン」「フェザー」とは「動物繊維(天然繊維)」の一種で、ガチョウやアヒルなどの水鳥の毛の事。
「ダウン」が水鳥の毛と毛の間に生えているボール状の綿毛の事で、ダウン以外の毛は全て「フェザー」とタグ状に表記される。
ダウンの質は、ダウンボールのの含有量で決まりダウンボールが多いほど良質とされるが、衣服としては「ダウンジャケット」のみで、寝具としてのイメージの方が大きい。
タグの表記上は「ダウン」「down」〇〇%「フェザー」「Feather」〇〇%の様な表記。※ダウン100%は殆ど存在しない。
特徴としては以下のものがある。
- 保温性に優れ、暖かい
- 弾力性に富み、コンパクトになる
- 軽い
- 湿気や水分に弱く保温性を保てなくなる
- 通気性が悪い
絹(シルク【silk】)
「シルク」は「動物繊維(天然繊維)」の一種で、蚕が繭を作る為に吐く繭糸から出来ており、古来より最も美しい繊維とされており、高級繊維の一つ。
天然繊維の中ではもっとも細い(髪の毛の約30分の1)長繊維で、流通も少ないため主に「ネクタイ」「ポケットチーフ」「スカーフ」等に用いられる。
タグの表記は「絹」「silk」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下のものがある。
- 美しい光沢を持っている
- 軽くしなやかで上品な風合い
- 肌触りが良い
- 染色性に富み、深みを持った色合いがでる
- 保温性・保湿性・発散性に優れる
- 摩擦に弱く、水分を含んだ状態で摩擦すると毛羽立つ
- 熱や酸やアルカリに弱い
- 汗や雨で色落ちする事がある
- シミになりやすい
- 水分を含むと縮む
- 紫外線に当ると黄変する
麻(リネン【linen】)
「植物繊維(天然繊維)」の一種で、麻としては(亜麻=リネン、苧麻=ラミー、大麻=ヘンプ、黄麻=ジュート、マニラ麻、サイザル麻)ほか20種類程があげられるが、今回覚えるべきは亜麻=リネン。
リネンは人類が用いた最古の繊維といわれ、主に「シャツ」「ハンカチ」「ポケットチーフ」などに用いられる。
タグの表記上「麻」と表記できるのは、ラミーかリネンのみで、「麻」「リネン」「Li」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下のものがある。
- 放熱性が良く、吸質性と放湿性に優れるので涼しい
- ナチュラルな独特の凹凸に富んだ表情がある
- シャリシャリした風合い
- 繊維の中で、最もシワになり易い
- 均一に染まりにくい、生成りは洗濯で白くなる
- 摩擦で毛羽立つ
- 皮膚障害がおきやすい(チクチクする)
- 保湿性に乏しい
※緑はメリットともデメリットともとれる
化学繊維(ポリエステル【Po】、ポリウレタン【Pu】、ナイロン【Ny】)
化学繊維(人工繊維)と言っても「再生繊維」「半合成繊維」「合成繊維」の3種類があり、(レーヨン、キュプラ、ポリノジック、アセテート、トリアセテート、プロミックス、ナイロン・ポリエステル・アクリル・ポリ塩化ビニル・ポリウレタン)などが挙げられるが、今回覚えるべきは「合成繊維」の「ポリエステル」「ポリウレタン」「ナイロン」。
「ポリエステル」は、合成繊維の中では世界的に最も多いシェアを誇る繊維。
衣服としては、単体(100%)で「フリース」「裏地」など、混紡で(25~50%)「シャツ」「ニット製品」などに多岐に用いられる。
タグの表記上は「ポリエステル」「polyester」「E」「Po」「PL」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下のものがある。
- 極めて強く丈夫な繊維である(耐薬品性、強度、耐熱)
- 防シワ性、速乾性、寸法安定性に優れ、ノンアイロンでもOK
- 美しい光沢感がある
- 吸湿性が少ない
- 熱に弱くアイロンでテカりやすい
- 肌触りはあまり良くない
- 静電気を帯びやすい
「ポリウレタン」は、別名スパンデックスともよばれており、繊維自体がゴムのようによく伸び縮みする。
衣服としては、ストレッチと言われる「パンツ」や「ジャケット」は全てこのポリウレタンが混紡で使われ、PVC*3以外の「合成皮革」には全てポリウレタンが用いられる。
タグの表記上は「ポリウレタン」「Polyurethane」「PU」〇〇%の様な表記。
特徴としては以下の物がある。
- ゴムのような伸縮性がある
- 軽くて丈夫
- 温度や湿度の急激な変化にあっても、素材性能は安定している
- 天然ゴムとは違い染色性がある
- 合成皮革は表面がはがれたり、2~3年で風合が変化しやすい
- ストレッチ素材の物も繊維が劣化すると伸び切ったまま戻らない事がある
- 摩擦に弱い
- 紫外線、塩素、汗、ガスに弱く劣化しやすい性質がある
※左(剥がれたPUレザー)右(膝が伸びきったPU混紡パンツ)
出典:https://urashita.com/archives/3633 出典:https://a2poyo.com/iron-joggerpants/
「ナイロン」は、世界初の合成繊維で『蜘蛛の糸よりも細く、鋼鉄よりも強い』と言うキャッチフレーズで1935年にデビュー。
衣類としては「ストッキング」「ウィンドブレーカー」「スキーウエアー」、他にも近年では「バッグ」等にも用いられる。
タグの表記上は「ナイロン」「Nylon」「N」「Ny」〇〇%の様な表記。
- 弾力性に富み、シワになりにくく型崩れしない
- 摩擦や折り曲げに対して強い
- 比重が軽い
- 虫やカビ、薬品や油に強い。
- 殆ど水を吸わず、吸湿もしないので乾きが早い。
- 静電気を帯びやすく、埃がつき易い。
- 日光やガスにより黄変し強度が低下する
- 熱に弱い
※緑はメリットともデメリットともいえない。
次回の記事で実際にこの繊維を使った生地を紹介していく。
ではこの辺で